アナログ経営がますます輝く時代へ

第6回 会社との付き合い方

会社とどう向き合い、どう付き合うのか。会社は、社員とどう向き合い、どう付き合うのか。
私は「会社がお金で解決できることに、貴重な時間を費やしたくない、費やすべきではない」と考えます。

例えば、営業力の強さだけを社内で自分自身のウリにして働いている社員がいたとします。その会社が、さらに自社の営業力を強化したいとヘッドハンティング会社に依頼すれば、経験豊富で営業力の高い人材を確保してくれて、採用することもできるでしょう。そして、入社した新たな人材の方が、既存社員より営業力が高い、というようなことはよくあることです。このとき、営業力の強さだけをウリにしていた既存社員の会社での価値は当然下がってしまいますし、その社員の必要性自体が薄れてしまうかもしれません。

これはあくまで一例にすぎませんが、ここでいう営業力のように、会社がお金で手に入れられるものだけをベースにした付き合いをしている場合、その関係はそう長続きしません。人にも会社にも、お互いに何も残らないからです。自分より後から入社した人に、能力的に劣っているためすぐに追い越される人もいれば、追い越されない人もいます。また、能力的には優っているのに追い越される人もいます。それは、なぜなのか?

私は「誰がどれだけのお金を払おうが、唯一買えない時間というものを、お互いにどう共有するのか」が大切だと思います。そしてこの、どのように共有するか、という点が、その社員の価値であり会社の財産となるのだと思います。

これは、何が正解で不正解という問題ではなく、それぞれの会社によって違うものです。なぜなら、会社の考え方や社員に望むものは、会社によって絶対に異なるからです。この会社が「何を考え、何を望むのか?」ということについて、自分自身が気づくか気づかないか、理解しているか理解していないかが、分かれ目なのではないでしょうか。

もしみなさんが、今働いている会社の経営理念や行動指針など、会社自体の想い、考え方、やり方に共感出来ているのであれば、そこに重きをおいて欲しいと思います。そして「単なる能力だけではない存在価値や、その会社での自分のウリ」を是非とも見出してください。こうして、会社がお金を出しても、買いたくても買えない、そんな向き合い方、付き合い方をすることで、会社にとってなくてはならない人財となり得るのです。

アナログ経営がますます輝く時代へ 全13回

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